※本記事は2019年に書かれたもので,政党や公約などの情報は古くなっています。しかしスクランブル放送に関する情報は変わりませんのでご承知おきください。 2021-10-18
NHKから国民を守る党(N国)の公約によりにわかに浮上してきたスクランブル化。
もしスクランブル化されたらなにが起こるのか調べてみました。
結論からいうと,以下のようなことが起こると考えられます。
- 公平性、独自性はさらに進む
- 番組の質は下がる
- 最先端の技術でのコンテンツの蓄積ができなくなる
それでは,詳しく見ていきましょう。
NHKスクランブル化とは
スクランブル化とは、受信料を払った人だけが視聴できる仕組みです。
WOWOWだとか、スカパー!などでご存知ですよね。
N国は、これを公約にしているのです。
なぜ、スクランブル化が話題になっているのか
党首の立花孝志がもと在籍していたNHKをぶっ壊すと言っていること
それをNHKの政見放送で公然とNHKを批判したこと
同党からは4月(2019年)に行われた統一地方選挙ですでに26人も当選しています。
既存議員と合わせて36人もの党員があり、先日の話題の議員の入党など、今後も勢力を伸ばしていくと考えられています。(2019年時点での情報。2021年現在は大きく変わっています)
スクランブル化における政府の見解は
すでに2019年7月23日の会見で、菅義偉官房長官はスクランブル化について問われると
「公共放送としてのNHKの基本的性格に影響を及ぼす」
と述べています。
閣僚からもスクランブル化についての批判的な発言があった相次ぎました。
総務省の石田真敏総務相
「NHKは災害報道や政見放送など公共放送の社会的使命が求められる」「技術的な話ではなく、NHKの基本的な性格を根本的に変え、NHKと民放の二元体制を崩しかねない」。
NHK経営委員会の石原進委員長(JR九州相談役)スクランブル化を否定。
「一見合理的に見えるが、全国どこでも放送を分け隔てなく視聴できるようにする、公共放送の理念と矛盾し、問題がある。市場原理によらず、公平かつ安価に提供することに努めることは公共放送としての責務だ」
NHKには、災害情報や政見放送など公共放送としての性格があり、スクランブル化はさらに馴染まないわけです。
スクランブル化が実施されればどうなるのか
現時点では、政府閣僚は批判的見解を示しており、8月15日に の答弁でもスクランブル化には否定的です。
にもかかわらず、情報の取得手段が多様化していく今後においては、公共放送の公平な負担という点で避けられない論点であることは間違いないでしょう。
この時期にN国がスクランブル化を公約して勢いを伸ばしているのは、歴史の中で必然的に出てきたともいえます。
今後、さらに議論が進んでいくことにより、もしスクランブル化が実施されればどうなるのでしょうか。
公平性、独自性はさらに進む
公共放送の公平性という点では、現状よりさらにはっきりするでしょう。
みたい人はお金を払う。見たくない人は払わない。
情報取得の手段の多様化した今では、見てもいないNHKのために公平負担をする必要は無くなります。
また、時の政権からの独立という点でも、よりそれがはっきりとするでしょう。
現在は政治からの横槍などが顕在化し、「予算が使われているのではないか」「国営放送なのではないか」不信感がもたれています。
スクランブル化により、自身の番組作成力で契約を集めるようになれば、政治からの独立性は高まります。
番組の質は下がる
ます、確実にNHKの契約数は減るでしょう。
NHKだからこそ作ることができる有益なコンテンツはたくさんありますが、それをお金を払ってまでみたいと思う人は確実に少ないであろうと予想されます。
すなわち、十分な番組制作費を得ることができず、番組の質は下がるでしょう。
最先端の技術でのコンテンツの蓄積ができなくなる
ハイビジョン、4kなど、技術の向上と蓄積には、NHKは深く関わっている来ています。
たとえば、かつてハイビジョンの普及に先立って
「ハイビジョンの時代になるとこんな素敵な画像が見られるようになるんだ」というような映像を、先立って作成し、見せてくれました。
4k.8Kと同様です。
このようなプロジェクトはNHKだからこそできていたと言えるのですが、これがスクランブル化により採算や人気のことを第一に考える番組作りになったら、難しいでしょう。
まとめ
政府は、2019年8月15日に、閣議で
「NHKの受信料をめぐる質問主意書に対し、NHKと受信契約を結んだ人は、受信料を支払う義務がある」
とする答弁書を決定しました。
今後、NHKの公共性と公平性というかとにかんしては、ますます議論が積み重ねられると思います。
しっけり流れを見守っていきたいですね。
更新履歴
2019-8-18 公開
2020-11-9 加筆修正
2021-10-18 加筆修正