葵祭は、京都で毎年行われる伝統的なお祭りの一つです。
昔の日本の貴族たちが楽しんでいた特別な行事で、石清水祭や春日祭と一緒に、三勅祭と言って大切な三つのお祭りの一つに数えられています。京都の人々にとっては、観光の大きな魅力の一つでもあります。
葵祭は、日本の歴史の中でも古くから続いているお祭りで、平安時代からずっと続いています。「源氏物語」にも登場するほどです。
このお祭りでは、昔の貴族の服装をした人たちが行列を作るのが有名です。特に、斎王代という重要な役割を持つ人が注目されがちですが、実は勅使代という役割の人がお祭りの主役です。
天気が変わりやすい時期に行われるので、雨に降られることもよくあります。実際、1995年には雨のためにお祭りが中止になったこともありました。そして、2020年と2021年には、新型コロナウイルスの影響で、お祭りの一部が中止になったこともあります。2023年からは通常開催されています。
この記事では、葵祭2024の日程やスケジュール、開催場所、イベントの内容、参加費用、さらには見どころとしての路頭の儀(時代行例)、賀茂競馬、流鏑馬などについて解説します。
また、上賀茂神社へのアクセス方法や駐車場情報併せてお知らせします。
葵祭2024の開催日程
5月15日の葵祭に先立って、「前儀」と呼ばれる一連の行事が下鴨神社と上賀茂神社で行われます。
2023年は、
- 5月1日の競馬足汰式(くらべうまあしぞろえしき)
- 5月3日の流鏑馬(やぶさめ)神事
- 5月4日に斎王代女人列御禊神事
が行われました。
これらの儀式は、平安貴族の装束をまとった行列「路頭の儀」で知られる葵祭の一環として、両神社で開催されます。
葵祭はなぜ5月15日?
東京への遷都や神祇制度の変更により、祭りが規模を縮小していた明治時代ですが、1884年(明治17年)には下社の神官たちの努力によって、勅使が参加する行列が再び行われるようになりました。さらに、祭りの日程もグレゴリオ暦に基づく5月15日に定められたということです。
葵祭は雨天でも行われる?
葵祭の行列は、雨天や荒天の場合でも予定通り実施されますが、5月15日にそれらの天候が続くと、行事は翌日の16日に延期されます。そして、16日も引き続き雨天や荒天である場合には、中止となります。
葵祭2024の内容と見どころは
岩治物語にも登場する葵祭
光源氏を一目見たさに都の女性たちが一条大路に集まる中で起こった「葵」の巻の「車争い」というエピソードがあります。この舞台となったのが葵祭のこと。
光源氏の正妻「葵上」と元恋人である「六条御息所」の間の複雑な関係を描いています。最初に「六条御息所」の御所車が良い位置に停められていましたが、その車が見劣りしたため、「葵上」の御所車が強引に場所を取ろうとしました。
この争いは当初、両者の従者たちの間で発生し、車内の人物が互いに誰であるか認識していなかったのですが「六条御息所」は相手が自分の元恋人の現妻であることを知り、恨みが深まったでしょう。
この一件が原因で、「葵上」は後に「六条御息所」の生霊に憑りつかれ、命を落とすことになります。
流鏑馬神事(やぶさめしんじ)
葵祭の一環として行われる伝統的なイベントです。
この神事は、武士たちによる騎射が起源で、平安末期から鎌倉時代にかけて特に盛んでした。
昭和48年には、下鴨神社の式年遷宮記念行事として「流鏑馬神事」という名前で復活し、今では人気のある催し物の一つとして知られています。
約400メートルの直線コースに設置された3つの的を、馬を疾走させながら鏑矢で射抜くという高度な技術が求められる神事です。
予定:2024年5月3日 13:00から15:30 下鴨神社
料金 有料席が3,000円から
一部無料の場所もあります。
賀茂競馬足汰式(かもくらべうまあしぞろえしき)
5月5日の賀茂競馬の前に行われる重要な儀式。
出走する馬の速さ、健康状態、年齢、そして「乗尻」と呼ばれる騎手の技術を評価し、競馬の走る順番を決定します。
烏帽子と浄衣の装束を身につけた乗尻が騎乗する馬は、上賀茂神社の一ノ鳥居から本殿に向かって試走し、2頭での競走も行われます。
予定:2024年5月1日 13:00 上賀茂神社
観覧は無料
有料席も用意 (西側1000円、東側500円)
斎王代女人列御禊の儀(さいおうだいにょにんれつぎょけいのぎ)
斎王代 上賀茂神社に到着
— 京刺繍職人 春駒 (@nuibenotsukasa) May 16, 2023
葵祭 路頭の儀
かんかん照りの中、優雅でした
皆さまお疲れの顔してる pic.twitter.com/LxcDwtyF1O
斎王代とは、賀茂神社に奉仕するために皇室から選ばれた女性のことを指します。
御手洗池で手を洗い清めるという重要な儀式を行います。
身を清め、穢れを洗い流す目的で、上賀茂神社と下鴨神社で交互に毎年行われています。
斎王代に選ばれる女性は、主に20代の令嬢で、京都にゆかりのある寺社、文化人、実業家などから推薦を受けて選ばれることが多いです。
斎王代は、雅楽の音色に包まれながら神社の境内を進み、神職に先導されて御手洗川のほとりに到着します。
ここで、十二単をまとった斎王代が童女4人を従え、清流に両手を浸して身を清める儀式を行います。
まるで王朝時代の絵巻を見ているような美しい光景です。
儀式が終わると、一行は5月15日に行われる葵祭に向かいます。
祭りは、斎王代の参加も含めて、京都の伝統と文化を今に伝える重要な行事の一つです。
予定日程: 2024年5月4日(木・祝)10:00~
料金: 無料
場所: 上賀茂神社[賀茂別雷神社]
2024年の斎王代は?
66代目の「斎王代」に選ばれたのは松浦璋子さんです。
4月11日に決定しました。
2023年の斎王代はだれ?
2023年の斎王代に選ばれたのは、京都市出身で29歳の東京のベンチャーキャピタルに勤める会社員、松井陽菜さんでした。京都市で生まれ育ち、その後イギリス留学、ロンドン大を卒業されたそうです。
斉王代はどのように決められる?
葵祭の斎王代は、名誉ある役割であることに加え、選ばれると数百万単位の莫大な費用がかかるので、どのような基準で選ばれるのか気になります。
やはり、裕福な家庭や特定の家柄からのみ選ばれるのではないでしょうか。しかし、選考基準を調べてみると、公募は行われておらず、「財力よりも地域との関連性の深さ」が重視されているようです。
そうはいっても、高額な費用を支払う能力が必須条件となるため、結果的には京都に深い縁のある名家の女性が選ばれることになりますね。
初代の斉王代はだれ?
初代は、平安時代にさかのぼります。初代の斎王代は、有智子(うちこ)内親王さまとのことです。
斎王さまの制は、弘仁元年(八一〇)四月、に設けられたと『一代要記』という史料にあります。初代の斎王さまは、有智子(うちこ)内親王さまでした。以来、鎌倉時代の禮子(いやこ)内親王さまが建暦二年(一二一二)九月四日、退下されるまで約四百年間、三十五代にわたってお出ましになられました。
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歩射神事(ぶしゃしんじ)
歩射神事は、葵祭の一環として行われる重要な儀式で、地上で矢を射ることからその名がつけられました。
神事の主な目的は、葵祭の行列が通る道を清め、邪気を払うことです。
神事は、邪気を祓う「蟇目式(ひきめしき)」で始まります。
その後、「屋越式(やごししき)」、「大的式(おおまとしき)」、「百々手式(ももてしき)」といった一連の儀式が行われます。
これらは、古来から伝わる魔除けの方法として、葵祭の中でも特に重要な役割を果たしています。
予定: 2024年5月5日 11時~
場所: 下鴨神社
賀茂競馬(かもくらべうま)
賀茂競馬は、平安時代の院政が始まる頃の寛治7年(1093年)に、五穀豊穣を願って上賀茂神社で行われた競馬が起源とされています。
舞楽の装束を着た騎手たちが馬に乗り、神前でその速さを競います。
この行事は、約400メートルの芝生の直線馬場で行われ、騎手たちは左右に分かれて馬に乗ります。
計5番10頭の馬が順番に出走し、その速さを競うのです。
賀茂競馬は、古典文学作品「徒然草」にも記述されており、京都市の登録無形民俗文化財にも指定されています。
五日、賀茂の競べ馬を見侍りしに、車の前に雑人立ち隔てて見えざりしかば、おのおの下りて、埒のきはに寄りたれど、殊に人多く立ち込みて、分け入りぬべきやうもなし。
徒然草 第四十一段
この行事は、京都の文化と歴史を今に伝える重要な一部となっています。
予定日程: 2024年5月5日 14:00頃競駈~
料金: 有料席 1000円、1,500円 ※柵外からは無料
場所: 上賀茂神社[賀茂別雷神社]
御蔭祭(みかげまつり)
御蔭祭は、葵祭りの前に行われる特別な神事です。
比叡山の麓にある御蔭山から下鴨神社へ神霊を迎え入れる行事です。
日本で最も古い神幸列の一つとして知られ、毎年神馬に神霊を乗せて本社に遷すという、古代からの信仰形態を現代に伝えています。
御蔭祭では、糺の森内の境内で神霊を迎える「切芝の神事」が執り行われます。
神事の際には、東游(あずまあそび)の舞と雅楽が奉納され、古代の伝統が今に息づく様子を見ることができます。
予定日程: 2024年5月12日 9:30~
料金: 無料
場所: 下鴨神社[賀茂御祖神社]
葵祭 路頭の儀(行列)
葵祭の主要な見どころの一つです。
この行列は、天皇の使者である勅使が上賀茂神社と下鴨神社へ向かう8kmほどの行列です。
近衛使(勅使代)や検非違使、内蔵使、山城使、牛車、風流傘、斎王代など、古代の装束をまとった人々が行列をします。馬36頭、牛4頭、500人以上になり壮大な行列で、王朝時代の絵巻のような光景が見られます。
予定日程 : 2024年5月15日 10:30~
※雨天順延(当日早朝天候判断)
場所: 京都御所(10:30)→下鴨神社(11:40頃)→上賀茂神社(15:30頃)
葵祭 路頭の儀(行列)の観覧おすすめの場所は
葵祭の「路頭の儀」観覧のおすすめはやはり有料席です。
京都御苑と下鴨神社参道には有料席が設けられます。座席指定なので、長い行列も落ち着いて快適に鑑賞できます。
場所取りの必要が
有料席の販売は?
席の種類 | 位置 | 価格 | 備考 |
---|---|---|---|
一般席 | 最前列 | 4,500円 | |
一般席 | 2列目以降 | 3,500円 | |
まなび席 | 最前列 | 9,500円 | 下鴨神社のみ、イヤホン解説付き |
まなび席 | 2列目以降 | 8,500円 | 下鴨神社のみ、イヤホン解説付き |
販売開始日(2023年の状況では): 2023年4月4日(火)でした
販売場所: 京都御苑・下鴨神社参道
※「まなび席」は下鴨神社でのみ提供され、らくたび講師によるイヤホン解説が付いています。
有料席の払い戻しはできる?
葵祭の有料観覧席については、行列が5月15日に雨天や荒天で延期され、翌16日も同様の理由で中止になった場合だけ、払い戻しがされます。
それ以外、払い戻しはできません。返金を受ける際は、チケットを購入した場所でのみ手続きが可能です。
葵祭2024 上賀茂神社のアクセスについて
上賀茂神社
住所: 京都市北区上賀茂本山339
電話番号: 075-781-0011、075-213-1717(京都市観光協会)
参拝時間: 5:30~17:00
京都駅からのアクセス方法
地下鉄を利用する場合
京都駅から烏丸線に乗り、北山駅で降りて市バス4系統に乗り換え、上賀茂神社前バス停で降りるとすぐです。
バスを利用する場合
京都市バス4系統の上賀茂神社行きに乗り、終点で降りるとすぐです。移動時間は約40分です。
タクシーを利用する場合
京都駅から上賀茂神社までは、交通状況によりますが、料金は約2,400円で、所要時間は約30分です。
大阪からのアクセス方法
電車でのアクセス
中之島または淀屋橋駅から京阪本線に乗車し、最終停車駅の出町柳駅で下車。
そこから市バス4系統を利用し「上賀茂神社前」で降りるとすぐです。
または、京都バス32、34、35、37系統で「上賀茂神社前」で下車することも可能です。
梅田駅からは阪急電車に乗り、河原町駅で降ります。河原町駅からは市バス4系統や37系統に乗り、「上賀茂神社前」で降りるルートがあります。
車でのアクセス
名神高速道路の京都南インターチェンジから約14kmの距離で、所要時間は30分から50分程度です。
葵祭2024 上賀茂神社の駐車場
上賀茂神社の一の鳥居西側に位置する、170台を収容できる専用駐車場です。
利用時間: 朝6時から夜10時まで
駐車料金:
30分ごとに100円。ただし、正月や繁忙期、手作り市が開催される第四日曜日などは、1台につき1000円(一回のみ)が適用されます。
駐車場は事前に予約しておきましょう
駐車場の混雑はよくある問題ですよね。特にイベントが近づいていると、渋滞や混雑で駐車場が見つからない、または見つかってもすでに満車で停められないという状況は避けたいものです。
そんな時には、事前に駐車場を予約しておく方法があります。
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まとめ:葵祭2024日程と見どころ アクセスや駐車場は?
この記事では、葵祭の歴史や魅力や見どころ、2024年の予定されていた日程や賀茂競馬や流鏑馬等の内容 上賀茂神社の場所やアクセスや駐車場について紹介しました。
京都を代表する貴族のまつり。平安時代を彷彿とさせる衣装や行列は素晴らしいものです。
ぜひ余裕を持ってお越しくださいね。