6月春と夏の境界で、初夏の季節です。
北海道を除く各地では梅雨の時期に入り、降水量が増えます。また、これを活用し、古くから田植えが行われる時期でもあります。水をたたえた水田の風景は特に美しいですね。
日本では旧暦の6月を「水無月(みなづき)」と呼び、現在では新暦の6月もその別名として使われています。
英語の月名「June」は、ローマ神話のユピテル(ジュピター)の妻であるユノ(ジュノー)に由来しています。この「ユノ」は結婚生活の守護神であることから、6月に結婚式を挙げる花嫁を「ジューン・ブライド」(June bride、6月の花嫁)と呼び、6月に結婚すると幸せになれると信じられています。
このような6月にまつわる風物誌やイベントを集めました。
6月の風物詩
まずは、6月ならではの風物詩を紹介します。
じめっとした印象の強い6月ですが、特徴はそれだけではありません。さっそく風物詩をチェックしてみましょう。
梅雨
6月という月を聞くと、多くの方がまず思い浮かべるのは梅雨の季節ですよね。この期間は、1週間以上続く長雨が特徴で、なかなか晴れる日がなく、気分まで湿っぽくなりがちです。湿度が上がると、蒸し暑さが強まり、洗濯物が乾きにくくなる、カビや結露が出やすくなる、食品が腐りやすくなるなど、少し憂鬱な面が目立つかもしれません。また、湿気のせいで髪型が崩れやすくなり、ファッションを楽しむのも一苦労です。
それでも、梅雨の季節ならではの楽しみ方があります。雨に合わせて、おしゃれなレインブーツを履いてみたり、梅雨の時期にきれいに咲く紫陽花を見に行ったりするのはどうでしょう。雨で外出が難しい日は、家でゆっくり過ごしてリフレッシュするのもいいですね。
「梅雨入り」と「梅雨明け」という言葉は、気象用語で、梅雨が始まる時期と終わる時期を示しています。2021年5月19日には、梅雨の平均的な開始と終了の日付を更新する新平年値が公表され、これは2031年まで使われることになります。例えば、関東甲信地方では、6月7日ごろが梅雨入りの目安になっています。
さらに、「入梅」という言葉もあります。これは梅雨入りと同様に、雨の季節が始まることを意味しますが、実はこれは季節の変わり目を示すために古くから使われている雑節の一つです。2024年の入梅は6月10日で、これは太陽の黄経が80度に達する日を指します。このように、梅雨は単に湿気が多い季節というわけではなく、日本の四季を感じさせる大切な時期なんです。
ジューンブライド
「ジューンブライド」という言葉は、6月に挙げる結婚式を意味し、この時期に結婚すると幸せな結婚生活が期待できるとされています。
この考え方の背景には、結婚の女神「ユノ」がおり、彼女の加護があるとされる6月に結婚することが好ましいとされています。
ヨーロッパでは、6月の気候が安定しており、農作業が少なくなる時期でもあるため、結婚式を行うのに適した時期とされています。
日本では、6月は梅雨の時期と重なりますが、比較的穏やかな気温であるため、結婚式に適していると考えられています。
この時期には結婚式の招待状が多くなるため、ご祝儀用の貯金を事前に準備しておくと良いでしょう。
父の日
6月の第3日曜日は父の日で、父親に感謝の気持ちを示す日です。この日には父親に黄色いバラを贈るのが一般的で、これは「心からの尊敬」を表します。他にもヒマワリは「憧れ」「敬慕」、ユリは「親思い」「子としての愛」、ガーベラは「親しみやすさ」を意味します。また、父親の趣味に合わせてお酒、食品、スポーツ用品、リラックスアイテムなどを贈ることもあります。
父の日はアメリカの提唱により始まり、南北戦争の復員兵であるウイリアム・ジャクソン・スマート氏の奮闘が背景にあります。彼の末っ子であるソノラ・スマート・ドッドが父の日を提唱し、6月の第3日曜日が父の日として定着しました。日本でも80年代から父の日が盛んになり、黄色が父の日のカラーとして広まりました。黄色いバラやヒマワリ、白いバラ、白いユリが支持される花です。
「母の日」がカーネーションで知られているように、父の日には黄色いバラを贈る習慣があります。この習慣はソノラ・スマート・ドッドが、父親が好きだったバラを選び、白いバラを父のお墓に供えたことに由来します。黄色は愛情や尊敬を表現する色としても知られており、この日に贈るバラはその感情を表すものとして選ばれています。
また、父親の趣味や好みに合わせて贈り物をすることも父の日の伝統です。お酒を好む父親にはお酒を、スポーツファンならスポーツ用品を、リラックスを好むならリラックスアイテムを選んでプレゼントすることで、父親に喜んでもらえることでしょう。
最後に、父の日は父親とのコミュニケーションを深める絶好の機会でもあります。長らく会話が少なかったと感じる人は、父の日をきっかけに心温まる会話を楽しんでみてはいかがでしょうか。父の日は家族の絆を深め、父親への感謝の気持ちを表す特別な日です。
夏至
夏至は年間で昼間が最も長い日を指し、通常は6月21日か22日です。
中国の二十四節気の一部で、夏の始まりを示します。
夏至に特定の食べ物を食べる習慣は広まっていませんが、地域によって独自の文化が存在します。
たとえば、関東地方では焼き餅を作り、残り半年も粘り強く生きることを祈ります。
関西地方では田植えが終わる6月のタイミングで豊作を祈り、足が8本あるタコを食べる風習が残っています。
夏至は、気温の上昇に伴い体調を崩しやすい時期でもあります。
そのため、夏至を迎える際に元気を取り戻す食べ物を楽しむことよいとされています。
夏の季節には新鮮な野菜や果物、水分補給が大切です。夏至の日には、これらの健康的な食材を利用して、体調を整えることができます。
2024年の夏至は6月21日です。
てるてる坊主
6月になると、晴れを願っててるてる坊主を作る人が増えます。
特に幼稚園や保育園では、園内のデコレーションとしててるてる坊主を作ることがよくあります。
天気予報が雨だったり、予定がある日に雨が心配なら、童心に戻っててるてる坊主を作ってみるのも楽しいかもしれません。
意外な効果が現れて、感謝の気持ちを抱くこともあるでしょう。
紫陽花
紫陽花は、通常5月から6月にかけて咲き、7月に見頃を迎える花です。
これらの美しい花がちょうど梅雨の季節に満開になります。
紫陽花は都市部や駅周辺でも見かけることがあり、あちこちで楽しむことができます。
地域によっては「紫陽花寺」と呼ばれる寺院や、紫陽花で有名な自然公園が存在することもあります。
紫陽花は青色だけでなく、ピンク、白、紫など多くの色があり、その多彩な色合いを楽しむことができます。
梅雨の期間は曇りや雨の日が続くことがありますが、紫陽花の美しい花々を鑑賞することで気分が明るくなることでしょう。
祝日がない
実は、6月は祝日が皆無です。毎年カレンダーを見てはがっかりする付きでもありますね。
ゴールデンウィークの終わりに憂鬱な気分が残る時期で、これが重なるとより一層つらく感じるかもしれません。かつては「山の日」を6月に設定する案もありましたが、最終的にはお盆と連続させやすい8月に変更されました。
6月はイベントが少なく、少し気が重くなりがちな月ですが、この期間を乗り越えると夏休みやお盆休みがやってきます!少し先の計画を立てるタイミングと捉え、楽しむ方法を見つけることができるでしょう。
夏越の祓
「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、6月30日に行われる日本の祓の行事です。
この儀式では、神社の境内で茅(ちがや)という草を使って作られた茅の輪(ちのわ)をくぐり、罪や穢れを清めることを目的としています。
夏越の祓は、古代から行われてきた大祓(おおはらえ)の一部で、日常生活で生じた罪や穢れを祓うために行われました。この大祓は年に2回行われ、6月末の夏越の祓と12月末の年越の祓があります。
夏越の祓は、前半の年の穢れを清め、後半の年を元気に過ごすことを祈る行事です。
特に夏の季節に行われるため、夏の風物詩として親しまれています。
茅の輪くぐりは、日本神話に由来しており、ある旅人が貧しい兄弟に親切に接したことから、武塔神(むとうしん)から茅の輪を授けられ、災厄を避けて繁栄したという伝説に基づいています。
この祓いの行事を通じて、家庭や地域の繁栄を祈る伝統が受け継がれています。
また、多くの人々にとって、夏越の祓を行うことで、前半の年を振り返り、感謝の気持ちを示し、後半の年を元気に迎える意味があります。
茅の輪くぐりや蘇民将来のおふだを家の玄関に掲げるなど、夏越の祓にはさまざまな習慣や祈りが結びついています。
このように、夏越の祓は日本の文化や信仰の一部として、年中行事の中でも特別な位置を占めています。
歯の衛生週間
6月4日から10日までの期間は、歯と口の健康に関する正しい知識を広め、虫歯予防と早期治療を促進する週間です。この取り組みは、日本医師会が「6(む)4(し)」という語呂合わせにちなんで、6月4日に「虫歯予防デー」を開始したことに由来しています。6月4日は「むし」と読むことができるため、「むし歯予防の日」として位置づけられています。
この週間は歯の衛生週間として知られており、厚生労働省、文部科学省、日本歯科協会などが共同で実施しています。そのため、多くの人々に知られており、歯の健康に関心を持つ機会となっています。覚えておくべきタイミングは、毎年6月4日から10日までの期間です。
衣替え
「衣替え」とは、一般的に6月1日を基準に冬服から夏服への衣服の入れ替えを行う風習です。この習慣が一斉に行われる背後には、歴史的な要因が存在します。
衣替えのルーツは、平安時代にまでさかのぼります。この風習は、中国から日本に伝わったもので、宮中での行事として採用され、年に2回、衣服を取り替えることが行われました。当初は「更衣(こうい)」と呼ばれていましたが、後に「更衣」という言葉が女官の役職名として使われるようになったため、「衣更え(衣替え)」という表現が広まりました。
江戸時代に入ると、着物のバリエーションが増え、気候に合わせて年に4回の衣替えが武家社会で行われ、庶民にも浸透していきました。さらに、明治時代に洋服が普及し、役人や軍人などが制服を着用するようになり、新しい暦が導入されたことから、夏服と冬服を年に2回交換する習慣が確立されました。
この衣替えの概念は、学校や家庭にも広まり、現代においても続いています。衣替えは季節の変化に対応するだけでなく、歴史的な文化の一部として、日本の生活に深く根付いています。
プール開き
夏季になると多くのプールや公共の水泳施設で行われる、プールの新しい水を準備し、一般の人々に利用可能にする行事です。
通常、春から夏にかけて行われ、水温や設備の点検、清掃が行われた後、プールの水を初めて公開し、一般の人々が泳ぐことができるようになります。
プール開きは、夏のリラックスや水遊びの楽しみを象徴し、多くの地域で楽しみにされています。
学校やコミュニティセンターなどでもプール開きが行われ、夏の季節の到来を告げるイベントとして親しまれています。
芸事(げいごと)はじめの日
6月6日
「芸事はじめの日」の由来は世阿弥(ぜあみ)が記した、『風姿花伝』という能の理論書のなかにあるそう。
芸事とは歌や三味線(しゃみせん)、踊りのことで、芸事は6歳の6月6日にはじめると上達すると昔は言われていたようです。
梅仕事
「梅仕事」とは、日本で古くから行われている季節ごとの大切な作業のひとつで、6月から7月にかけて梅の実を収穫し、それを使って梅干しや梅酒を作ることを指します。この時期になると、梅の実がちょうどいい熟れ具合になるんですよ。
梅仕事には、梅を収穫することから始まります。収穫した梅は、きれいに洗った後、種を取り除きます。そして、それらを使って、塩で漬けた梅干しや、梅とお酒を合わせて作る梅酒の準備をします。梅干しを作るときは、梅を塩漬けにして発酵させるんです。梅酒は、梅とお酒を一緒に漬け込むことで、特有の風味を引き出します。
それぞれの家庭や地域によって、この梅仕事のやり方にはちょっとした違いがあって、それが日本の食文化の中で大切な役割を担っています。梅の酸味や風味は、料理やお酒をより美味しくしてくれるだけでなく、夏の暑い時期を少し涼しく感じさせてくれるんです。この季節に行われる梅仕事は、日本の伝統や文化を感じさせるもので、美味しい梅干しや梅酒を楽しむ素敵な機会を提供してくれるんですよ。
ほたる祭り・蛍狩り
6月には日本各地で、川沿いの地域で行われるホタル鑑賞のイベント、「ほたる祭り」が開催されます。
夜間に川辺や森林地帯で、光るホタルの美しい舞台を楽しみます。
ホタルは日本の夏の風物詩として親しまれ、自然の美しさや神秘的な雰囲気を堪能する場として人気があります。
一般的なホタルとして知られるのは、ゲンジボタルです。ゲンジボタルは、幼虫期を川の中流域で過ごし、そこでカワニナと呼ばれる小さな甲殻類を捕食します。幼虫はこの時期に育ち、エサを食べながら成長します。そして、成虫になると、美しい光を発し、繁殖のために飛び交います。
ほたる祭りは、この光る昆虫の自然の魅力に親し機会です。
あじさい祭り
6月には、美しいアジサイの花が見頃を迎え、全国各地で「あじさい祭り」が開催されます。
この季節、あじさい寺やあじさい公園などがテレビのニュースやメディアで頻繁に取り上げられますね。
訪れる人々は、アジサイの美しさに感動し、写真を撮りながら散策することができます。
また、ライトアップや音楽コンサートなどを楽しむことができるイベントもあります。
お近くのあじさいまつりを調べてみて下さい
6月のイベント
YOSAKOIソーラン祭り
6月上旬に開催される「YOSAKOIソーラン祭り」は、北海道札幌市で行われる注目のお祭りです。こ
高知県のよさこい祭りで踊られる「鳴子」と北海道の「ソーラン節」を融合させて誕生しました。その魅力は、躍動感あふれる踊りにあり、毎年200万人もの観客を動員しています。
2024年のYOSAKOIソーラン祭りは、6月7日(水)から11日(日)までの期間に開催されます。
かつて札幌は冬の大イベントである雪祭りがありましたが、夏の集客力を強化するためにYOSAKOIソーラン祭りが導入されました。
北海道の6月は、避暑地として訪れる人々も多い時期であり、その観光客にも向けたイベントと言えます。
横浜開港祭
6月2日前後には横浜で特別なイベントが行われます。この日は横浜の開港記念日であり、横浜市立の小・中・高校では休みとなります。そのため、毎年6月2日およびその前後に、港への感謝と観光の活性化を促すために「市民祭」が開催されます。
2024年の市民祭は、6月1日(土)、6月2日(日)に開催される予定ですが、平日に行われることもあるので、参加したい人は注意が必要です。この祭りは横浜の歴史と文化を称賛し、地元のコミュニティを団結させる素晴らしい機会です。
金沢百万石まつり
金沢の歴史的な偉業をたたえ、加賀藩の創設者である前田利家を讃えるお祭りが開催されます。この祭りでは、前田利家の入城を再現する百万石行列や、子供たちが提灯太鼓を奏でる行列、百万石茶会など、多彩なイベントが楽しめます。
2023年の開催は、2024年5月31日(金)~2日(日までの期間に行われます。
金沢の誇りを称え、地域の歴史と文化を祝う素晴らしい機会です。
山王祭(さんのうまつり)/日枝神社大祭
東京都千代田区に位置する日枝神社で行われるお祭りは、正式には「日枝神社大祭」と称されます。この祭りは、神田祭と深川祭と並ぶ「江戸三大祭」のひとつとされ、さらには京都の祇園祭や大阪の天神祭と共に「日本三大祭」に数えられる特別な祭りです。
2024年の開催期間は、月31日から6月2日までとなっています。
稚児として神職に祈祷を受ける稚児行列や、山車の展示などが見どころとして楽しむことができます。
日本の伝統と文化を称えるこの祭りは、日枝神社の重要なイベントとして多くの人々に愛されています。