博多祇園山笠の追い山とは、15日間に及ぶ山笠行事のクライマックスです。
博多祇園山笠の歴史は古く、770年以上も前から疫病退散と豊穣を願う祭りとして始まりました。その日程の最後を飾るにふさわしい勇壮な行事です。
毎年7月15日の早朝、午前4時59分に一番山笠が櫛田神社から出発し、約5キロメートルにわたるコースを力強く駆け抜けます。
この追い山に参加する舁き手たちの姿は、見る者すべてに博多の歴史と文化、そして地域の結束を感じさせます。
追い山をより近くで体験したい方のために、桟敷席チケットが用意されています。チケットは、櫛田神社や指定の販売所で限定的に販売され、追い山を特等席から楽しむためには欠かせないものとなっています。
この記事では、追い山の魅力とその歴史、日程、コース、そして桟敷席チケットの入手方法について詳しく解説します。
博多祇園山笠 追い山の魅力とは何か
追い山とは、福岡市の博多地区で伝統的に開催される、博多祇園山笠の中でも最も注目されるイベントです。
この行事は、毎年7月15日の午前4時59分に始まり、約1トンもの重量を誇る舁き山笠が博多の街を力強く駆け抜けます。舁き手たちが一斉に「オイサ!」と掛け声を上げながら走る様子は、見る者にとって圧巻の光景です。
追い山では、櫛田神社を出発点として、博多の町中を縦横無尽に駆け巡り、須崎町の石村萬盛堂前でフィナーレを迎えます。この約5キロメートルに及ぶコースを、舁き手たちは約30分で駆け抜けます。
追い山は、ただの祭り以上の意味を持っています。博多の人々が一丸となって作り上げる共同体意識と、地域の結束力を高める大切な行事なのです。
また、博多祇園山笠は770年以上の歴史を持ち、古来から伝わる伝統や文化を今に伝える貴重なお祭りであり、地域行事なんです。
追い山の日程
追い山は毎年7月15日です。
この日は午前1時半ごろから、櫛田神社前の土居通りに、舁き山笠(かきやまかさ)が順番に並び始めます。スタートまでまだ3時間もあるのに、この時点で既に祭りの熱気で熱くなっています。
なぜ5時ではなく4時59分なのか?
午前4時59分、櫛田神社から一番山笠がスタートします。一番山笠の出発の合図となる大太鼓が鳴り響くと、それに続く山笠も5分おきにスタート。櫛田神社から博多の街へ、約5キロのコースに向かって駆け出します。
ちょうど5時でないのは、この1分前の時間には、一番山笠が「博多祝い唄」を歌う特別な時間が設けられているからです。
追い山の由来と歴史
追い山は博多祇園山笠のフィナーレを飾る行事ですので、まずは博多祇園山笠の起源から解説します。
博多祇園山笠は、鎌倉時代の1241年(仁治2年)に遡るとされています。この年、博多を襲った疫病を鎮めるために、櫛田神社で祇園祭が行われました。それが山笠の始まりとされています。
承天寺の開祖で当時の住職である聖一国師(円爾)が、町民に担がれた木製の施餓鬼棚に乗り水を撒きながら町を清めてまわり疫病退散を祈祷したことが発祥
Wikipedia 博多祇園山笠
当初は神輿を担いで町を練り歩く形式でしたが、時代が下るにつれて、現在見られるような飾り山笠と舁ぎ山笠に進化しました。
1587年(天正15年)に豊臣秀吉が博多に来た時に山笠を見て大変喜んだことから、山笠は博多の重要な行事になっていきました。
1687年(貞享4年)には、舁き山笠が互いに競う現在の形式が確立されました。
博多祇園山笠は、もともと休憩や食事を取りながら進むゆったりした祭りだったのです。
石堂流と土居流の間で発生した結婚式での喧嘩等細なトラブルがきっかけで、土居流に恨みを残した石堂流が、東長寺で休憩を取っていた土居流の山笠を追い抜いてしまいました。その光景が面白くて見物人が喝采したことで、今のような速さを競う形になっていったと言われています。
それ以来、追い山は博多祇園山笠の中でも特に重要な部分として、毎年7月15日の早朝に行われるようになりました。
舁き手たちは、この日のために力を合わせて一年間の訓練と準備を行うのです。
追い山で使われる舁(か)き山笠と飾り山笠の違い
追い山に登場する山笠は、舁き山笠(かきやまかさ)と飾り山笠の2種類に分けられます。
舁き山笠は、追い山のクライマックスで活躍する、舁き手たちが実際に担ぎ、博多の町を疾走する山笠です。
これらは約1トンもの重さがあり、舁き手たちの力強い「オイサ!」の掛け声とともに、約5キロメートルのコースを駆け抜けます。
飾り山笠は、追い山の競走には参加しないものの、その豪華な装飾で祭りを彩ります。
これらは櫛田神社や博多駅前、中洲、天神、PayPayドームなど、博多各地に展示され、祭りの期間中、多くの人々の目を楽しませます。
飾り山笠は、伝統的な物語や歴史的なエピソードをモチーフにした精巧な装飾が施されていて、博多の伝統工芸の技術の高さを伝える芸術作品としての価値も高く評価されています。
追い山が始まる時間 なぜ5時ちょうどではなく1分前の4時59分
追い山が4時59分に始まる理由は、一番山笠による「博多祝い唄」の唱和のために設定された時間です。
この祝い唄は追い山の開始を告げる重要な役割を担っているのです。追い山に参加する全ての人々の心を一つにするために、一番山笠だけが歌うことが許されています。
追い山の正式な開始時間を午前5時ではなく、1分前の4時59分にすることで、この祝い唄を唱えるための時間を確保しているわけです。
この時間の設定は、単に伝統を引き継いだというものではなく、祭りが持つ雰囲気を最大限に盛り上げ、これから追い山がはじまるのだという気持ちを参加者や見物人に実感させるためのものでもるんですね。
午前4時59分の合図とともに一番山笠が「櫛田入り」を果たし、清道旗を回るという一連の流れは、追い山を見る上で最も感動的で、心震える瞬間の一つです。
追い山のコース
追い山のコースは、博多の中心を縦横無尽に駆け抜ける約5キロメートルの道のりです。
スタート地点は櫛田神社で、そこから博多の町を力強く走り抜け、最終的には須崎町の石村萬盛堂前で終わります。
追い山を見るポイント どこで見るのがおすすめ
追い山を見るための推奨ポイントは以下の通りです
櫛田神社清道
櫛田神社の清道は追い山を見る絶好の場所で、舁き山笠が神社の境内を出発する瞬間を間近で見ることができます。ただし、ここで観覧するには事前にチケットを確保する必要があります。
旧西町筋
「博多祇園山笠最大の難所」 旧西町筋の狭い四つ角を…。山は曲がります。
れいた
旧西町筋は狭い道を山笠が駆け抜ける迫力を感じられるスポットです。ここでは、舁き手たちの技術とチームワークが試される場面を目撃できます。
承天寺前清道
承天寺前では、舁き山笠が特設された清道を通過します。この地点でも、山笠の壮大な光景を観察できます。
冷泉公園
冷泉公園から櫛田神社にかけての土居通りは、舁き山笠が櫛田神社に向かって疾走する様子を見ることができる場所です。この通りは、特に櫛田入り前の緊張感が高まる時間帯におすすめです。
須崎町
石村萬盛堂前では、追い山のゴールシーンを見ることができます。舁き山笠が一つ一つゴールに到達する様子は、感動的な瞬間のひとつです。
これらのポイントは、追い山を異なる角度から楽しむことができる場所です。早朝から多くの観客で混み合うため、良い観覧スポットを確保するには早めに現地に行くのがいいですね。
追い山を桟敷席から見る魅力
追い山桟敷席のチケットはいつからどこで買える
追い山の桟敷席チケットは、毎年6月26日午前9時より、櫛田神社にて直接販売されます。
チケットは、追い山ならし(7月12日実施)と追い山(7月15日実施)の2種類。それぞれ300枚ずつ、合計600枚が販売される限定品です。
価格は、追い山ならしのチケットが1枚3000円、1人2枚までとなっています。
追い山のチケットは1枚6000円。1人1枚の購入制限があります。
チケットは、インターネットや電話での予約は受け付けておらず、購入を希望する場合は櫛田神社に直接足を運ぶ必要があります。
また、販売されるチケットは「エリア入場券」として位置づけられており、指定席ではないため、当日は早めに会場に行き、好位置を確保することが推奨されます。
なお、チケットは発売開始と同時に即日完売することが多いので、購入を希望する方は開売日の朝早くから並ぶする人が多いです。
しかし、もし販売開始日に売り切れてしまった場合でも、当日キャンセルや余剰分が発生した際は、櫛田神社の社務所で少量が再販売される場合があるため、諦めずに確認するのがいいですね。
桟敷席から見る追い山の迫力
桟敷席から見る追い山は、まさに一生の記憶に残る体験です。
この特等席からは、舁き手たちの緊張感あふれる表情や、力強い「オイサ!」の掛け声、そして舁き山笠が疾走する迫力を間近で感じることができるからです。
桟敷席ならではの見物の魅力は、舁き山笠の美しさや装飾の細部まで目にすることができる点にあります。
早朝から始まる追い山ですが、桟敷席に座っていると、時間が経つのを忘れてしまうほど、迫力あるシーンの連続に心を奪われること間違いなしです。
承天寺前清道で感じる伝統の重み
承天寺前清道での追い山は、博多祇園山笠の伝統と歴史の重みを直に感じることができる場所です。
承天寺は山笠発祥の地とも言われており、住職があらわれて舁き山笠の表敬を受ける場面が見どころです。
承天寺は日本におけるうどん・そばの発祥の地ともいわれています。
旧西町筋での迫力ある瞬間
旧西町筋と山小屋前は、追い山を見る際に特に迫力を感じられるスポットの一つです。
旧西町筋。五番千代流の舁き山が西流の小屋をくぐり通過。細い路地を駆け抜けて疾走するのが追い山の見所の一つ。
出典:Twitter
このエリアは狭い道が特徴で、その中を思い曳山を絶妙にコントロールしながら曲がり角を力強く駆け抜ける様子を目の当たりにできます。
舁き手たちの息がぴったりと合っていなければならず、その息吹を感じ取ることができるのも、この場所ならではの醍醐味です。
廻り止めでの感動のフィナーレ
廻り止めは、追い山が終わるゴール地点です。多くの人々が最も感動的なフィナーレを目撃する場所となります。
約5キロに及ぶ激走の後、舁き山笠がこの地点に到達すると、舁き手たちの安堵の表情や、見物人からの温かい拍手が博多の朝を包みます。
廻り止めでの瞬間は、一年間の準備と努力が結実した証。舁き手たちだけでなく、見物している人々にとっても忘れられない時間が共有できます。
この場所で見る追い山の終わりは、ただの終点ではなく、来年への期待と祭りの歴史を継続するための新たなスタートラインとも言えます。
まとめ 博多祇園山笠 追い山とは?日程と歴史、飾山との違いについて
以上、博多祇園山笠 追い山についてまとめてみました。
以下、復習のためのメモです。ご活用くださいね。
- 追い山は福岡市博多地区で開催される博多祇園山笠のクライマックスイベント
- 毎年7月15日午前4時59分に始まる
- 約1トンの舁き山笠が博多の街を力強く駆け抜ける
- 舁き手たちが「オイサ!」の掛け声を上げながら走る
- 国内外から多くの観光客が訪れる
- スタート地点は櫛田神社、終点は須崎町の石村萬盛堂前
- 約5キロのコースを約30分で駆け抜ける
- 博多の夏を代表する行事
- 地域の結束力を高める重要なイベント
- 770年以上の歴史を持つ
- 古来からの伝統や文化を今に伝える機会
- 舁き手たちの姿は博多の歴史と文化、そして強い絆を象徴
- 午前1時半から櫛田神社前の土居通りに舁き山笠が並ぶ
- 「博多祝い唄」を唱える一番山笠が特別な時間をもつ
- 追い山中の各山笠は5分おきにスタートし、櫛田神社から博多の街を疾走する
- 承天寺前清道や旧西町筋など、伝統的なポイントを通過する